みなさま、こんにちは。人事労務講座 第10回なります。
前回と、前々回で「使用者」と「労働者」に関してそれぞれ解説いたしましたが、今日はその関係性において、重要な「労働契約」について解説いたします。尚、来年の4月1日より労働条件の明示に関して、重要な改正もありますが、まずは、現状での基本を理解していただければと思います。
労働契約とは・・・
まず、労働契約の締結、労働条件の変更、解雇等についての基本的なルールを定めた労働契約法が平成20年3月1日から施行されています。
労働契約法6条
労働契約(ろうどうけいやく)は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことを内容とする労働者と使用者の間の契約である。
労働契約は口頭でも成立します。
労働契約法では口頭だけでも労働契約が成立します。
労働基準法においては、一定の条件については、書面による明示が義務づけられています。
労働基準法では書面による明示が必要な事項があり、書面により明示しなかった場合、第120条の罰則規定によって30万円以下の罰金に処せられることがあります。
何を明示しなくてはいけないか?
1.労働契約の期間
2.期間の定めのある契約(有期労働契約)を更新する場合の基準
3.就業の場所及び従事すべき業務
4.始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、2交代制等
に関する事項
5.賃金(退職手当・臨時に支払われる賃金・賞与等を除く)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締め切り及び支払いの時期、昇給に関する事項
6.退職に関する事項(解雇の事由を含む)
以上が労働契約締結時に使用者から労働者へ明示することが、義務付けられているものになります。
尚、以下については、定めをした場合に明示しなくてはならない事項になります。
1.退職手当に関すること
2. 賞与などに関すること
3. 食費、作業用品などの負担に関すること
4. 安全衛生に関すること
5. 職業訓練に関すること
6. 災害補償などに関すること
7. 表彰や制裁に関すること
8. 休職に関すること
ちょっとポイント
パート従業員の場合は、昇給、賞与、退職金の有無と相談窓口を書面にて明示します。
「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口 ●●部署、担当者の役職●●部長 氏名:●●太郎」などといった形で明示をします。
労働条件の明示方法は?
原則、書面の交付が必要となります。
ただし、労働者が希望した場合は、以下 のような方法で明示することができるようになります。ただし、出力して書面を作成できるものに限られます。なお、労働者の個人的な事情によらず、一般的に 出力可能な状態であれば、出力して書面を作成できると認められます。 ① FAX ② Eメールや、Yahoo!メール、 Gmail等のWebメールサービス ③ LINEやメッセンジャー等のSNSメッ セージ機能 等
尚、第三者に閲覧させることを目的とし ている労働者のブログや個人のホー ムページへの書き込みによる明示は 認められません。
ここまで抑えておくと安心です。
明示する内容は、事実と異なるものにしてはいけません。
紛争を未然に防止する観点から、
・労働者が本当に電子メール等による明示を希望したか、個別にかつ明示的に確認しましょう。
・本当に到達したか、労働者に確認しましょう。
・なるべく出力して保存するように、労働者に伝えましょう。
SMS(ショート・メール・サービス)等による明示は禁止されていませんが、 PDF等のファイルが添付できず、文字数制限もあるため、望ましくありません。
労働者が希望していないにもかかわらず、 電子メール等のみで明示したりすることも、違反となります。
ピース社労士事務所では、今後も定期的に情報発信を行っていきます。初回相談は無料ですので、どのような事でも、お気軽にお問合せください。
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