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第22回 人事労務講座 パワハラとは?


みなさま、こんにちは。人事労務講座 第22回なります。


先日は、東京ドームへ野球観戦にお声をかけていただき、観戦いたしました。

シーズンシートと呼ばれている席で、年間を通してその席のオーナーとなるものです。

入り口も専用シートでビュッフェもあり、贅沢な時間を過ごさせてもらいました。


試合は、延長12回、牧選手の勝ち越しホームランで勝利。尚、代表の高野はベイスターズが好きです。野球観戦も皆様、是非ご一緒できましたら幸いですね。



また、横浜スタジアムにも観戦に行きたいな。


本日は、パワハラに関して、その概略を中心に解説いたします。


ピース社労士事務所では、パワハラに対しては、大変厳しい視点と毅然と対応をします。企業に対しては、きちんと対応をしないと業務の効率や社内の雰囲気、職員のモチベーションも低下させますし、被害者の方は日々辛く、悲しい思いをすることになります。また万が一、被害者の命が失われることなれば、残された家族が悲しみ、生活に困るだけでなく、企業に対しては安全配慮義務違反により、多額の解決金や示談金により、経営もできなくなってしまう恐れがあります。社名も社会に公表されることでしょう。(加害者、被害者、企業、すべてにとって大きなマイナスです)


ただし、パワハラを恐れるゆえに、何も注意できないことも大きな問題です。業務上必要な指導は必要です。そのためにも、この指針をもとに、どういった事がパワハラに該当するかを経営者だけでなく、従業員が理解する必要があります。


そして、もう一歩踏み込むと、これらの問題にはコミュニケーション不足が影響することがあると考えられますので、社員同士の親睦や信頼関係を深める必要は指針にはありませんが、取り組む必要があると、ピース社労士事務所としては合わせて訴えたいです。



パワーハラスメントとは・・・


事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針がもとになっております。(労働施策総合推進法)


この指針は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する 法律(昭和41年法律第132号。以下「法」という。)第30条の2第1項及び第2項に規定する事業主が職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること(以下「職場におけるパワーハラスメント」という。)のないよう雇用管理上講ずべき措置等について、同条第3項の規定に基づ き事業主が適切かつ有効な実施を図るために必要な事項について定めたものである。 →パワハラ防止の対応は企業規模問わず、義務です。



職場におけるパワーハラスメントの内容


(1) 職場におけるパワーハラスメントは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるも のであり、①から③までの要素を全て満たすものをいう。 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については 、職場におけるパワーハラスメントには該当しない。



優越的な関係を背景とした言動とは


 当該事業主の業務を遂行するに当たって、当該言動 を受ける労働者が当該言動の行為者とされる者(以下「行為者」という。)に対して抵抗又は拒 絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指し、例えば、以下のもの 等が含まれる。 ・職務上の地位が上位の者による言動 ・ 同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの ・ 同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの


「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは


 社会通念に照らし、当該言動が明らかに当 該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指し、例えば、以下のもの等 が含まれる。 ・業務上明らかに必要性のない言動 ・ 業務の目的を大きく逸脱した言動 ・ 業務を遂行するための手段として不適当な言動 ・ 当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超 える言動 この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の 有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該 言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者との関係性等)を総合的に考慮 することが適当である。また、その際には、個別の事案における労働者の行動が問題となる場合 は、その内容・程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることにつ いても留意が必要である。


「労働者の就業環境が害される」とは


当該言動により労働者が身体的又は精神的に苦痛を与 えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指す。 この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、同様の状況で当該言動を受 けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうかを基準とすることが適当である。




例えばの例

イ 身体的な攻撃(暴行・傷害)

(イ) 該当すると考えられる例 ① 殴打、足蹴りを行うこと。 ② 相手に物を投げつけること。

(ロ) 該当しないと考えられる例 ① 誤ってぶつかること。


ロ 精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)

(イ) 該当すると考えられる例 7① 人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な言動 を行うことを含む。 ② 業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと。 ③ 他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行うこと。 ④ 相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複数の労働者宛てに送信すること。

(ロ) 該当しないと考えられる例 ① 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること。 ② その企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。


ハ 人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)

(イ) 該当すると考えられる例 ① 自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離したり 、自宅研修させたりすること。 ② 一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させること。

(ロ) 該当しないと考えられる例 ① 新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実施する こと。 ② 懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、その前 に、一時的に別室で必要な研修を受けさせること。


ニ 過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)

(イ) 該当すると考えられる例 ① 長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業を命ず ること。 ② 新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目標を課 し、達成できなかったことに対し厳しく叱責すること。 ③ 労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせること。


(ロ) 該当しないと考えられる例 ① 労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せること。 ② 業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程度多い業務の処理を任せること。


ホ 過小な要求(業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)

(イ) 該当すると考えられる例 ① 管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせること。 ② 気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えないこと。


(ロ) 該当しないと考えられる例 ① 労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減すること。


ヘ 個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

(イ) 該当すると考えられる例 ① 労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりすること。 ② 労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者 の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。

(ロ) 該当しないと考えられる例 ① 労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行うこと。 ② 労働者の了解を得て、当該労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人 情報について、必要な範囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促すこと。


まとめると


・上記の3つの要素をすべて満たすことがパワハラとなります。


・パワハラとは決して上司から部下だけでなく、部下から上司に対しても、この要素を満たすことでパワハラとなります。


・客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しないと考えられます。)


必要な対応


①パワーハラスメントは職場であってはならないメッセージを企業から全社員へ周知

②疑われる場合は早急な対応と聞き取りが鉄則

③被害者の保護と希望への対応(被疑者と職場で距離が取れるよう配慮など)

④被疑者に対しての適切で毅然とした対応(客観的な証言や記録より明らかな場合)

ピース社労士事務所では、今後も随時、情報発信を行っていきます。初回相談は無料ですので、どのような事でも、お気軽にお問合せください。



神奈川県 東京都の人事労務のご相談は・・・

ピース社労士事務所

社会保険労務士

高野 尚宗

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